メーカー別 ナビの特徴
音質を重視した場合の、各メーカーごとの特徴や比較をお伝えしたいと思います。
以下の内容は、独断と偏見ありの個人的な感想となります。
組み合わせるスピーカーや調整方法によって結果が大きく変わる場合があります。
音質の検証には、CD再生とiPhoneに取り込んだ無圧縮のCD音源(ビットレートはオリジナルと同じ)をUSB接続又はアナログ出力(ミニジャック)で再生した場合の2種類です。
ナビに搭載の音質に関する調整は全てOFFにした場合の感想となります。
2018年までは各社大きな変化は無かったのですが、2019年以降に大きく変化があったように感じます。2019年から2024年9月現在までの各社のナビでお伝えします。
ーーーまず、結論からーーー
・大画面とフィッティングにこだわるなら(車種は限定されますが)ALPINE
・とにかく多機能にこだわるならカロッツェリアのサイバーナビ
・高画質とブルーレイ再生にこだわるならPanasonicのストラーダ
・とにかく音質にこだわるならKENWOODの彩速ナビ
・セパレートスピーカーでCDしか聴かないのであれば三菱のサウンドナビ
・検証する機会が無かったエクリプスとクラリオン。。。
〜ALPINE〜
ALPINEのナビでは大画面とフィッティングの良さで、限られた車種のみ恩恵を受けられます。汎用タイプのナビもありますが、画面タイプが異なるだけで、基本的な機能はほぼ同じです。
取り扱いの車種があれば、バックカメラも専用の取り付けキットがあるので見た目キレイに違和感無く取り付け出来ます。
ただ、車種専用のナビでは、車種別設定を「ON」にしないと他の様々な音響設定が出来ない場合があります。
この車種別設定が結構なくせ者で、音質が悪くなる原因になっていると感じます。
組み合わせるスピーカーによっても変わりますが、車種別設定を行うと音質が劣化するように感じます。劣化した音質を何とか元に戻そうと考えた場合、各音響設定を行うしかないので、かなり効率の悪い方法に思えます。
車種別設定の無いナビの方が、音質的には変な味付けが無い分クリアです。
音質の特徴としては、カロッツェリアと似たような感じで中高域がハッキリしています。
他の設定もカロッツェリア同様に多彩で、使いこなす事が出来れば便利なナビとなりそうです。
個人的な意見ですが、昔のALPINEの方が音に対するこだわりが強かったように思います。時代の流れに素直に従い、現在は大画面と車種専用に特化してしまったようです。
ナビ連動のドライブレコーダーは、前後録画タイプ、フロント&車内録画タイプ、フロントのみと充実しています。
大画面とフィッティングの良さを求めるオーナー様にはベストな選択ですが肝心の音質については特に目立ったポイントはありません。
★★★☆☆
〜カロッツェリア〜
カロッツェリアのサイバーナビは、とにかく多機能です。
ナビの性能に関してはカロッツェリアがやはり優れていると思います。それにプラスしてサイバーナビでは、本当に多機能なので全て使いこなす事が出来るのであれば、オーナー様にとっては便利なナビとなります。
通信機能を使いこなしたい場合には満足出来るナビだと思います。(サイバーナビに限る)
多機能なゆえ設定画面が細かく複雑で、かなり分かりにくいのが難点です。
「この」の機能を「ON」にしたい場合、まずは「その」機能を「OFF」にしてから設定して下さい・・となり、一つの機能を「ON」にしたくても、他の色々な設定や解除が必要になるパターンが多いので、慣れない内はたどり着くまでに時間が掛かります。
便利な機能が多いのですが、併用が出来ない機能も多くあります。
特に今までカロッツェリア以外のナビを使用していたオーナー様は、説明書片手での操作が必要です。
音質そのものに関しては以前までと特に大きな変化はありません。
ハイレゾ音源対応で192kHz/24bit(又は32bit)まで読み込み可能ですが、96kHz/24bitまでダウンコンバートされます。
タイムアライメント機能を「ON」にすると、定位は定まりますが音が薄く軽くなってしまいます。音響設定にて様々な設定を「ON」にすればするほど音が薄く、擬似的感が増したようになるので好みが分かれるかと思います。
このあたりは、アルパインも似たような感じです。
ナビとの連動機器は充実していますが、他メーカーよりも一つ一つの価格が高いように感じます。
ナビではありませんが、リア用のモニターの場合で例えると、HDMI入力が可能なのですが、モニター2台をHDMI接続したい場合は別売りのHDMIの拡張ユニットが必要となります。
この拡張ユニットが1万円以上します。
ちなみにKENWOODでは同じタイプのモニターでHDMI入力が可能で、さらにモニター本体にHDMI出力が付いるので、追加で拡張ユニットなどの購入は不要です。
ただし、KENWOODではシートに取り付ける為の基台が別売りとなります。(どちらもHDMIケーブルは別途必要です)
この辺り、カロッツェリアは何かと必要な別売りオプションが多く、出費が嵩みます。
必要なオーナー様だけ追加で購入するので、一見不要なオーナー様には優しい対策かと思いきや、だからといってナビ本体の価格がその分安い訳でもないので、良いのか悪いのか何とも言えないもどかしさを感じます。
話を戻し、ナビのデーター更新が3年間無料というのは有難いです。。。
ナビの起動は、昔に比べると随分早くなりましたが、KENWOODの最速ナビと比べると遅いと感じます。
ナビ連動のドライブレコーダーは現時点では1機種しかないようです。フロントのみの対応となっています。(車内用のカメラはあります)
楽ナビとサイバーナビは、やはりその価格差もあり音質共にハッキリと分けている感じがします。直感的な使い方に関しては楽ナビの方が機能が少ないので単純明快です。
ナビの起動時間は年々早くなっています。
★★★☆☆
〜Panasonic〜
Panasonicでは、2019年以降のナビから劇的に音質が良くなっています。
以前は音の匠という設定ありきで、その設定を行なうと無理やりの臨場感UPでかなりの違和感でした。だからといって音の匠を「OFF」にすると何重にも膜がはったようにこもった音となり、それはそれで聴くに耐えない音質でした。
2019年以降のナビでは、問題の音の匠を「OFF」にしてもクリアな音質へと変貌したので、あまりの変貌ぶりに驚きました。
さらに、現在は10インチの大画面でありながら多くの車種に取り付けが可能です。
2018年までは音質重視ではKENWOOD一択だったのが、現在ではPanasonicも選択肢の一つとして視野に入れても問題ないレベルだと思います。
ハイレゾ音源も192kHz/24bitをネイティブ再生します。
ブルーレイ再生に関してはPanasonic一択ですが、ブルーレイは必要ないという場合は価格を抑えたDVD再生タイプもあります。(DVD再生モデルはHDMI入出力がありません)
大画面、高画質、さらに音質もかなり上がったので、今後さらに良くなる事を期待します。
不便な点は、ディスクの出し入れ時に手動でモニターを手前に倒さなければならないことです。
もうひとつ、RCA入力タイプのアンプを取り付けたいとなった場合、PanasonicのナビではRCA出力の対応がありませんので、ハイローコンバーターが別途必要となります。
他メーカーのナビでは、ナビ裏にRCA出力のケーブルが出ているタイプや、別売りで対応している場合などがありますが、PanasonicではRCA出力の対応自体がありません。
ナビの起動はカロッツェリア同様に遅めです。毎回余計な表示が出るので、ちょっと鬱陶しいです。
ナビ連動のドライブレコーダーでは現時点で、フロント・リア共に録画可能なモデルがあるので使い勝手は良さそうです。
検証したPanasonicのナビは、10インチのフローティングモニタータイプとなります。それ以外のPanasonicナビでの比較は行なっていないので、全てのPanasonicナビに当てはまるかどうかは不明です。
フローティングタイプのナビでは、パナソニックが薄型で圧迫感なく取付け可能です。
他メーカーよりも、圧倒的に勝っている感じです。
*2022年に新型の7インチタイプのストラーダ(型式未確認)は、フローティングモデルの音質とは異なり、以前とあまり変わらない感じでした。
★★★★☆
〜KENWOOD〜
今までもKENWOODのナビは、音質重視で考えた場合のおすすめ度No.1でした。
設定画面も比較的分かりやすく、何かしらの音響設定を「ON」にしても劣化が少なく他メーカーと比較しても違和感の無い音質です。
価格も他メーカーよりリーズナブルなのでコストパフォーマンスがかなり良いです。
全体的に今までも良かったのですが、2019年以降のナビから、さらに音質がUPしています。そして2022年からもさらに音質UPしています。
KENWOODは、ハイレゾ音源のネイティブ再生帯域が 24bit / 192kHz まで可能です。CDは48kHzまで可能なようです。
また新形式の MQA/MQA.Studio にも対応しており、352.8kHz は 176.4kHz 相当、384kHz は 192kHz 相当で再生します。
ハイレゾ再生が優れているから単純にKENWOODのナビが良いという訳ではありません。
普段、当店がスピーカーの取り付け時に仕上がり具合の確認のために使用する音源はCD音源レベルが大多数で、ハイレゾ音源の再生を必要としている訳でもありません。
ハイレゾ音源の再生帯域が広いのはもちろん有難いので良いのですが、CDを再生しても、iPhoneに入れたCD音源を再生しても、SDカードに入れた様々な音源を再生しても、大きな劣化無く安定して再生してくれるのがKENWOODの良いところだと思います。
音響設定を「ON」又は「OFF」にした時の劣化が少なく、音源を比較的忠実に再生している感じです。実際、音に味付けを行う事は簡単ですが、音源をそのまま素直に再生する方が困難です。KENWOODのナビは、その辺りは他メーカーのナビより音質にこだわっているなと感じることが出来ます。
現在はCD以外の再生デバイスが多いので、外部入力時の音質劣化は致命的なポイントとなりますが、KENWOODのナビでは外部入力時の大きな音質劣化は殆ど感じません。
音質に関しては文句なくおすすめですが、ナビ機能に関しては若干意味不明な案内をすることがあるので今後の改善を期待します。
画面の操作方法の一貫性が無く、シリーズごとにコロコロと変わるので戸惑うことが多々あります。ただ、改善を繰り返しているので、良くなっているのですが・・・
早く最適を見つけてほしいです。
ナビの起動の速さは、名前の通り一番早いので起動までの待ち時間のストレスがありません。KENWOODのナビの起動時間に慣れると、他メーカーのナビの起動の遅さにはストレスを感じます。
起動後の余計な表示や案内が無いのが、個人的には好きなところであります。
ナビ連動のドライブレコーダーは、前後録画タイプやフロントのみなど必要に応じて選べます。高画質タイプは今までとは比較にならない程キレイです。
最新の前後録画タイプのドライブレコーダーの価格はやはりそれなりに高額ですが、その他オプション製品は比較的リーズナブルな価格設定だと思います。
★★★★★
〜サウンドナビ〜
三菱のサウンドナビは、カーオーディオ雑誌やネット上ではかなり評価の良いナビです。
SUBARU車でのディーラーオプションナビで選択するオーナー様と、カーオーディオショップにて勧められるオーナー様が多いようです。
サウンドナビの特徴ですが、CDの再生能力に関しては他メーカーよりも優れていますが、外部入力での音質に関しては正直最低レベルだと思います。
CD以外の再生では明かな音質の劣化を感じます。
いまどき、音楽をCDでしか聴かないという方は少数なので、この辺りは多様なデバイスでの再生に関しても、もっと改善してほしいです。
音響関連の設定に関しても、「ON」にしないとその先には進めず、様々な設定を行なう事が前提となっているようです。
セパレートスピーカーで鳴らすのが前提のような作りのため、フルレンジスピーカーを好んで取り付ける場合は、サウンドナビそのものが無意味な存在となりかねません。
イコライザーやその他DSP関連を売りにしているので、セパレートスピーカーで様々な音響設定を行い、音質の変化を楽しむのであればそれなりに満足するとは思います。
アンプを取り付け、スピーカーをマルチで鳴らすシステムを組む場合は、さらにサウンドナビの良さが発揮されます。(この場合のナビは、プレミアムシリーズが最適となります)
ただ、似たような音響設定に関してはサウンドナビに限らずとも他メーカーにも備わっているので、ナビ本体の価格と機能で考えた場合、コストパフォーマンスはかなり悪いと感じます。
コスト的には、リーズナブルな価格のナビと単体のDSPとの組み合わせの方がより効果を発揮出来るかもしれません。
当店ではフルレンジスピーカーの取り付けが多いので、サウンドナビとの相性が悪いと感じる事が多々あります。今回の記事では特にサウンドナビが不利となっていますが、サウンドナビの全てが悪い訳ではありません。
セパレートスピーカーで色んな設定を行なう場合は、サウンドナビの良いところも引き出せます。。。
ハイレゾ音源などの再生に関して、WAVファイルとFLACファイルは、192kHz/24bitまで対応していますが、44.1kHz/24bitにダウンサンプリングされて再生します。
CD以外の再生能力に関しては、あまり力を入れていないようで、今後の改善を望むしかないようです。
ナビの性能はおまけ程度となります。 ナビの性能を重視するのであれば、絶対に選んではいけないナビとなりますのでご注意ください。
ナビ連動のドライブレコーダーはありません。今後の開発を期待するしかないようです。
★★☆☆☆
〜エクリプス〜
エクリプスのナビに関しては、検証不足のため特徴をお伝えする事ができません。
トヨタやダイハツなどの純正ナビで使用されていることが多く、型番も様々で同じシリーズがどの型番に当てはまるのか・・など不明です。(ネット上で情報がありますので気になる方はお調べ下さい)
音質に関しては極端に悪い訳でもなく、外部入力(USB)は若干劣化を感じる事もありますが・・純正ナビとして考えた場合は、こんなもんでしょ!といった感じです。。。
エクリプスとして一般販売されているナビでは、種類が少なすぎてどれにしようかと悩む必要すらありません。
ジックリと検証する機会が無く、良し悪しすら判断できませんのでこの辺りで終了とします。
ナビ連動のドライブレコーダーというか、ナビとドライブレコーダーがセットになっているタイプがあります。後方録画にはバックアイカメラという専用のカメラを使用するようですが、バックカメラと併用なので写り具合に関しては、天候にもよりますが、雨水の付着などで良くない場合もあるかと思います。
〜クラリオン〜
もう一つ、検証する機会のなかったクラリオンですが、アゼスト時代の勢いはすっかり無くなってしまい、現在は純正ナビやレンタカーのナビで良く見かける程度となっています。
個人的にアゼスト時代でよくお世話になっていましたので、勢いがなくなってしまい寂しい限りです。
ナビではありませんが、フルデジタルスピーカーというのを開発し、現在も販売中です。システムを組んだデモカーを試聴させていただきましたが、定位に執着し過ぎて薄く軽い音質というイメージになりました。
音の厚みや深みが無いので、全体的に印象として残らない結果となりました。
まだまだ改善の余地はあるはずなので、今後に期待したいと思います。
各メーカーごとの特徴をお伝えしましたが、接続するスピーカーや調整によって良し悪しが変わります。偏った意見となっていますのでご了承ください。
ハイレゾ音源について
上記のメーカー別詳細には、ハイレゾ音源の再生に関する内容がありますが、ハイレゾ音源の再生スペックについては、音質重視のナビ比較に影響はありません。
今回は、CD音源レベルでの比較となりますので、ハイレゾ音源の再生スペックの高いナビが良いナビという訳ではありませんのでご承知下さい。
ハイレゾ音源については、録音時からこだわっているもの(本物のハイレゾ)や、逆に形だけの偽ハイレゾなどもありますので、本当に高音質な音源なのかを調べてからダウンロードなどを行って下さい。
ハイレゾ音源に限って高域の歪みなどが気になる曲も多々あり、実際の試聴にて本当にハイレゾ音源なのか疑問を感じる音源もあります。
スピーカーをシッカリと鳴らす事が出来れば、ハイレゾ音源にこだわる事なく、CD音源レベルでも十二分な音質を堪能出来ます。