DSPの調整
 

 
 
近年では、カーオーディオといえばDSPの追加が当たり前のようになっています。
 
外車では特に、メインユニットの入れ替えが不可の車種が多く、そして〇〇サウンドシステムなど純正状態でスピーカーの周波数が設定されている場合など、なかなか自由にシステムの入れ替えが出来ない仕組みになっています。
 
それでもスピーカーやアンプを追加したいとなると、DSPが一番簡単なアイテムとなります。。。
ただ、DSPと言っても価格や性能にも差があり、システムを組む上で必要な機能が備えられているDSPを選ぶ必要があります。
 
 
DSPの一般的な機能
・イコライザー
・タイムアライメント
・ch数(6/8/10ch OUT)
・外部入力(USB・アナログ・Bluetoothなど)
・動作サンプルレート(96KHz/24bitなど)
・入力方法(RCA・光など)
・出力方法(RCA・光など)
・アンプ内蔵型
・DSP単体型(別途アンプ必要)
・その他
 
 
DSP音質調整方法
・アプリのインストールにてスマホで調整可能
・ダウンロードソフトにて調整(Windows ノートPCが必要)
・専用ソフトにてショップでの調整のみ
 
 
 
DSPにどこまでの性能を求めるのかによって選択するのが一番ではありますが、当店では音質調整に関して最終的にはご自身で行えるように、一般のお客様でも調整ソフトがダウンロード出来る機器を選ぶのが一番良いかと思っています。
 
 
DSPを他店で取り付けたお客様が、その調整に納得出来ずに当店に再調整のご依頼をいただく問い合わせが多々あるのですが・・・
 
その多くは、高音域(ツイーター)がキツくて聴き疲れするといったパターンです。
 
この場合、単にDSPの調整が問題ではなく、根本的にミッドレンジがしっかりと鳴っていない事(ドアのデットニング不足や、スピーカーに合わせてのセッティングミス)による原因の方が多いのです。
 
 
DSPの調整に関してはショップによって様々で、計測機器を用いる場合や、ソフトに組み込まれている車種ごとの設定をそのまま利用する場合、または全て独自で調整する場合など様々です。
この調整は、スピーカー取り付けの土台(鉄板)の悪さまでは計算されていません。
 
 
ショップ側に調整を完全にお任せすると、オーナー様の好みとはかけ離れた音質になっていたり、また最初は良いと感じても結局上記のように高域がキツくて聴き疲れするといったパターンが多く、2回や3回までは同じショップで再調整の依頼をしても、それ以上は何となく依頼し辛くなり結果的に別のショップへ依頼を行うようになります。
 
別のショップでの依頼で解決する場合は良いのですが、根本的にミッドレンジの鳴りが悪い場合は、いくらDSPで調整を行っても満足のいく音質にはなりません。
 
このミッドレンジ(正確にはミッドレンジを取り付けているドアの状態)が原因であることに、多くのオーナー様は気が付いていないので、悪循環に陥ります。
 
DSPとアンプの相性が悪いのかも?
スピーカーとアンプの相性が悪いのかも?
メインユニットが悪いのかも?
などと色々と思いを巡らし、システムの入れ替えなどに無駄な費用を掛けてしまいます。
 
 
その前に、何度でもご自身で調整を行い検証出来る環境があれば、じっくりと考える事も出来るのではないかと思っています。
DSPの調整は、最初は良く分からないかもしれませんが、何度か操作する内に徐々に仕組みも分かってきて、なおかつオーナー様ご自身の好みで調整が可能なので、毎回ショップに依頼することなく、好きな時にお好きなだけ設定の変更が可能です。
 
DSPを取り付ける醍醐味でもあるので、調整をショップに任せっきりというのは逆にもったいないと思います。
ただ、調整は自分好みに合わせる事が難しく、その日の体調や音源によっても異なるので、あまりシビアにならない方が良いですが・・・(^_^;)
 
DSPの調整を何度行っても高域のキツさが改善されない又は、音質そのものに不満がある場合は、ミッドレンジが原因である可能性が高いので、デットニング・セッティング方法の見直しを行って下さい。
 
 

 
 
DSP取り付けで、ツイーターの高域がキツくて聴き疲れする原因
 
・単純にツイーターのゲインが高い
・イコライザーなどで高域を強調している
 
 
上記が原因の場合では、DSPやアンプでの調整により改善が可能です。
 
DSPの調整を行っても改善されない場合は、ミッドレンジの鳴りが悪い事が原因である可能性が高いのですが、なぜミッドレンジが原因でツイーターがキツく感じるのか・・・
 
ミッドレンジの低音〜中音域までがしっかりと聞こえるレベルにまで音量を上げると、ドアのデットニングなどとは無関係なツイーターは元々良く鳴り、しかもセパレートタイプでは取り付け位置がピラーなど比較的耳に近い位置で鳴るので、高域はさらに耳に届きやすくなります。
 
ミッドレンジがしっかりと鳴る音量まで上げてしまうと、ツイーターの方が良く鳴ってしまうので結果的に高域がキツく感じてしまいます。
 
単純に高域のレベルを落としてバランスが取れた場合は良いのですが、ミッドレンジの鳴り方次第では高域を落としすぎて逆にこもった音になったり、バランスが悪くなったりします。
逆にイコライザーで低域〜中音域を上げる方法も有りですが、こもった音が強くなってしまう可能性もあります。
 
 
ミッドレンジがしっかりと鳴っていない場合(デットニング不足やセッティングミス)高域がキツくしっかり聞こえるわりにはこもった音も混じって妙な感じとなります。
高域はキツいがミッドレンジのこもった音質を、オーナー様はシビアに感じているのだと思います。。。
 
ミッドレンジがしっかり鳴り、ツイーターとのバランスが取れた場合は曇りが取れてクリアな音質となります。
 
 
DSPは様々な調整が可能ですが、スピーカーを取り付けている鉄板部分はDSPの調整ではどうにもなりません。多少のごまかしは出来ますが、音に敏感なオーナー様はすぐに異変に気が付きます。
 
上記の内容はDSPに限った事ではなく、セパレートタイプのスピーカーを取り付けの場合によくある事なので、スピーカー交換やデットニングを行っていても音質に納得出来ない場合は、デットニングの見直しを行って下さい。
 
 

 
 
DSPの具体的な調整方法は?
 
 
各DSPによって調整ソフト・アプリなどが異なるので、使い方についてはご自身で調べてマスターするしかないのですが、各スピーカーの周波数の調整に関して、数値が分からない又はどこまでならば大丈夫なのか?という素朴な疑問があると思います。
 
調整前にメインユニット(ナビなど)の各音質設定を全てOFFにして下さい。
「LOUDNESS」や「BassBoost」などは初期設定でONになっている機種も多いので、必ず全て確認して下さい。
 
 
そもそもですが、DSPの調整全てにおいて正解値というのはありません。
 オーナー様が納得出来る音質になった値が正解値ということになります。
 
ただ、ツイーターに関しては低域の周波数が流れてしまうとツイーター本体を破損させる恐れがあるので、この点だけはお気を付け下さい。
 
各スピーカーシステムによってツイーターの周波数領域が異なりますので、ご自身のスピーカー(ツイーター)の周波数を必ず確認して下さい。
 
例えばツイーターでは「4.5kHz - 20kHz」の記載があった場合、ツイーターでの低域である4.5kHz から大きく下回る周波数は入力しないで下さい。(例えばフルレンジ出力や600Hz など)
2.5kHz 程度であればツイーターが破損する事はありませんが、ワイドレンジのツイーター以外では、やはり規定値内での設定が安全です。
 
DSPを取り付けていて、スピーカー付属のパッシブネットワークも取り付けている場合は可能であれば取り外した方が調整の自由度が高くなります。
パッシブネットワークのコンデンサー類は音質に影響しますので、DIYで高品質なパーツを使用している場合以外は取り外した方がクリアになります。
 
 
ミッドレンジに関しては、フルレンジ出力に設定してもスピーカーが壊れる事はありません。ミッドレンジ側で可能な限り低域から高域までを出したい場合は、フルレンジ出力に設定してもOKです。
 
 

 
 
周波数の調整時に、周波数以外で「dB」という調整がありますが、各スピーカーの信号レベルの調整です。分かりやすく言うと音の大きさになるのですが正確には異なります。(ここでの説明は省略しますのでご興味のある方はご自身でお調べ下さい)
 
 
DSPでは各スピーカーのレベルが調整出来るので(パッシブネットワークを使用しないマルチ接続の場合、1つのスピーカーに1chを使用)
 
この調整では、上記に記載のツイーターの高域がキツくて聴き疲れする場合など、ツイーターのみを気にならないレベルにまで下げてみる事も可能です。
どのあたりで折り合いを付けるかというのは、実際に様々な音源を試して何度も試聴して決めるしかありません。
 
DSPに限った事ではありませんが、物足りない部分を上げる方法ではなく、物足りない部分に全体を合わせるようにするのが、歪み感の無い音質に仕上がります。
 
 
もう一つ、スロープ設定というのがあるのですが、こちらはエムズラインさんのDSPに使用出来るソフトで説明します。
 
画像の白枠部分が「スロープ設定」です。これは各スピーカーの周波数の始まりから終わりにかけてのカーブの部分の設定です。(ピンク丸枠部分)
 
 
 
 
 
このカーブの部分を変えるとどうなるか・・・
カーブが緩くなるとミッドレンジからツイーターの境もなだらかになるので、繋がりやすい音質になるような気がしますが、実際に試聴してみるとなんだかモヤッと感じる場合もあります。
ただ、このあたりは好みによってかなり変わりますので、面倒ですが毎回設定を変えながら好みの値を見つけるしかありません。
 
カーブが極端になればなるほど各スピーカーがハッキリと鳴りますが、逆に繋がりが悪く感じたりもします。
その場合は周波数自体を上手に調整して好みを見つけて下さい。
 
カーブが一切無く、1本のフラットな線の場合がフルレンジ出力です。
 
このスロープ設定ですが、操作次第では良い方に変化しますので、初期設定のままにせず色々設定を変えてみて下さい。
 
 
以上がDSPの最低限の設定です。
各スピーカーがしっかりと鳴る状態であれば他の設定は特に必要ありません。(特にミッドレンジの完成度によって変わります)
 
 

 
 
DSPの設定ではタイムアライメント機能もありますが、DSPのアプリやソフトによっては車輌情報を登録すれば自動的に合わせてくれるといった便利な機種もあります。
 
ただ、自動設定が完璧かと言われるとそうでもありません。
 
タイムアライメント自体の距離設定は正確でも、実際に試聴すると違和感を抱いたりOFFの方が良いと感じる場合もあります。
そして何よりオーナー様によって聞こえ方が異なりますので、正確に距離を測ってもそれが良く感じるかどうかは別問題です。
距離があっているからこれで良いと決めつけずに、違和感を抱いたら思い切って設定距離を変えてみることをおすすめします。
意外と、全然違う距離がシックリくるといった場合もあります。
 
タイムアライメントは必ず設定しなければならない機能ではありません。
 
 

 
 
DSPの調整方法については「これが正しい設定方法」というのはありません。
 
ネットでの情報には、細かい数値まで掲載されているパターンも多くありますが、それが必ずしもご自身の好みに当てはまるとは限りませんので、参考値としてそこから色々アレンジして下さい。